そのままゴロゴロとやることもないまま、朝の6時。
空が白みかけた頃、掃除のおばちゃんがやってきた。話を聞くと、もうすぐバスがインター出口まで来るとのこと。ということで出発する。
インター出口まで付く頃にはだいぶ明るくなっている。あたりには田んぼが広がり、その奥にもやに包まれた山が見える。このもやが日光を防ぎ、まろやかな味わいのお茶を育む。さすが昌泰の工場があるところである。それにしてもこの辺りまで来ると、ずいぶんと田舎に来たものだなと実感する。
インターを出るとさっそくお茶屋がある。さすがはお茶の産地雲南省。
プーアル茶の本場、雲南省のプーアル茶屋と言っても油断してはいけない。(一応)全てのプーアル茶は雲南省で作られている訳なので、プーアル茶屋があるのはおかしいことではないのだが、もし年代物のプーアル茶を売る店に出会ったら気をつけなくてはいけない、おそらくそれは偽物である。もちろん本物のプーアル茶屋もあるのだが、プーアル茶はもともと香港や広州で消費されていたお茶なので、年代物のお茶は全てそういった場所にあり、雲南省には残っていない。そもそも雲南省では年代物のプーアル茶を飲むと言う習慣がないのである。
雲南省で消費されるお茶は晒青毛茶と呼ばれる固められる前の生茶なので、新しいお茶かもしくは数年ほどたったお茶で、緑茶の一種として飲まれる。
このお店にも陳年プーアル茶と書かれた看板が掲げられているが、それらは見たことのない茶廠の熟茶である。
そうこうしているうちにバスが着たのでさっそく乗り込み昌泰へと向かう。乗り合いバスは茶畑を抜け、町の中心部へ、まだ朝の7時前だと言うのににぎわっている。そこからもう少し先、市街地の終わりのところに昌泰があった。
バスを降りて門のそばにいた人に尋ねると、人を呼んできてくれた。彼が大渡崗工場マネージャーの陳徳才さんである。とりあえず挨拶をすると朝食を食べにいくことになった。時間はまだ朝の7時、しかしこの辺りの人はもう皆働き始めている。まだまだ時間を太陽と共にする生活を続けているようだ。
昌泰のオフィスからすぐそばにある麺屋に出かける。昆明のバスターミナルに続きここでも米麺だ。味付けは辛くて塩気がありそして酸味がある。酸味の感じが今までに食べたことがない風味だ。食べていると陳さんがこれを食べてみろとトッピングを勧めてくる。勧められるままに食べると何ともすごい風味だ。ドクダミと香菜の種を足して1.5かけたような強烈な風味である。何かの茎らしいが、聞いたことのない名前だった。この辺りまで来ると見たことのないものが多くなる。
食べ終わるとオフィスに戻り、お茶をのみながら今日の予定を話す。こうやって当たり前のように出てくるお茶は何となくうまい。何の気無しにお茶を入れてもらい、意識することなく会話とともに飲む。もちろんおいしいお茶だ。お茶好きになるとあれこれと考えながら飲むのも興味深いが、やはり自然に飲むお茶はうまい。ちなみに入れてくれたお茶は07易昌號の精品である。
今日の予定はお茶畑を見に行き、工場を見に行くとのこと。
楽しみである。(つづく)